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生きていく上で大切なことを教えてくれる一冊|寂聴 九十七歳の遺言【書評】

昨年、2021年11月9日に亡くなった瀬戸内寂聴さんの著書「寂聴 九十七歳の遺言」

「瀬戸内寂聴」という人物を知っている方はたくさんいると思いますが、寂聴さんって何がすごいの?女性のお坊さんなの?という疑問を抱くと思います。

わたし自身もすごく気になっていてこの本のことが頭から離れず、ついに先日購入してみました。

本書は「遺言」となっていますが、生きていく上で大切なことを教えてくれる一冊です。

  • 自分に自信がない
  • 愛することがわからない

そんな方へおすすめしたいです。

自分の家族と重ねてしまい、なぜか冒頭から込み上げてくる想いがたくさんあったり、テレビでみている寂聴さんらしい毒舌の部分もあってクスっと笑えたり。

2日ほどで読めるので気になるかたはぜひ購入してみてくださいね!

それではぜひ最後までご覧ください。

「寂聴 九十七歳の遺言」の概要

本の概要を簡単に表にまとめました。

タイトル

寂聴 九十七歳の遺言

定価

825円

著者

瀬戸内寂聴

発行

朝日新聞出版

瀬戸内寂聴 プロフィールはこちら

徳島県徳島市塀裏町(現・幸町)の仏壇店を営む三谷の次女、三谷晴美として生まれ、後に三谷から瀬戸内姓に改姓。
1943年2月に結婚し、女の子を出産。1948年に夫と3歳の長女を棄て家を出て京都で生活。
1950年に正式な離婚をし、東京へ行き本格的に小説家を目指し、かつての本名であった三谷晴美のペンネームで少女小説を投稿し『少女世界』誌に掲載され、三谷佐知子のペンネームで『ひまわり』誌の懸賞小説に入選。少女世界社、ひまわり社、小学館、講談社で少女小説や童話を書く。また丹羽文雄を訪ねて同人誌『文学者』に参加、解散後は『Z』に参加
参照:ウィキペディア

本書の内容|誰かを愛する。そのために人間は生きている

以下が本書の目次です。

第一章 生きることは愛すること 愛することは許すこと
第二章 「ひとり」は寂しいか
第三章 「変わる」から生きられる
第四章 今この時を切に生きる
第五章 死ぬ喜び

愛から始まり、死で終わっていますが、寂聴さんの人生で一番大事な部分は誰かを「愛すること」なんだなと感じました。

実際に冒頭で以下のように書かれています。

人間が生きるとは、どういうことでしょうか。この歳まで生きてきて、はっきり言えるのは、それは「愛する」ことです。誰かを愛する。そのために人間は生きているのです

P11

百冊の本を読むよりも一度の真剣な恋愛の方が、はるかに人間の心を、人生を豊かにします。

P22

恋愛でも、家族でも、友情でもいいから誰かを愛する。

愛する人が先に亡くなったとしても、別れを悲しむのではなくこの世で出会えたこと自体が有難い、幸せなこと。

実際に自分の夫や子供に先立たれたら、わたしは精神崩壊すると思います;;

しかし、この世で出会えたこと、何気ない生活の1コマが心の底から幸せだと感じることができるのも事実です。

この事実は死ぬときに一番心に残っていると思います。

本書を読んで感じたこと、心に残っている言葉

本書を読み進めていくにあたり、

  • 自分自身
  • 祖父母

と重ねて読んでしまうシーンがところどころあって、他の方が読むより込み上げてくるものがたくさんあったのかなと思います。

本書を引用する形で紹介していきます。

✔️私なんかと言わない

人は、ほんの些細なことで自信を失って、すぐ自分を標準以下だと思って、つい「私なんか」と言いがちです。自信がないというのは自分を信じていないことです。でもね、そんな情けないことをいっていても、ほんとは誰にでも、いろんな才能があるんです。だから私なんかと思ったらダメなんです。それは自分自身に失礼だと思ってくださいね。

P138

私なんかではなく、私しかないのです。自分には取柄がないというのは、自分に失礼ですよ。その人の好きなことが才能ですから、必ずあなたにもそれがあります。他の人と比べて「私なんかには出来ない」と思わないで下さい。ほんとはみんな何でも出来る。人の目なんて気にすることはないのです。

P142

上記は自分自身と重ねてしまった部分です。

  • 私なんかなんの取り柄もない
  • 人と比べて自己嫌悪に陥る

学歴もなければ、まともな職にもついたことがない。

しかし、この文を読んだときにはハッとさせられました。

「私なんか」

たった一言だけど深い。

自信が無くなった時には、寂聴さんのこの文章を思い出そうと思います。

✔️やりたいことは全部やる

生きている以上は、何か自分がしたいと思うことはやった方がいい。(略)やった後にはその結果がでます。その結果が自分のそこから先の生き方を教えてくれるでしょう。(略)いくつから始めてもいい。「この年でいまさら」なんて言わないでください。(略)死ぬまで花開かなくても、この世で好きなことを何年かしたというだけで、生きてきたかいがあります。

P120

母がよくいうんです、「老後が心配」だって。

「だったら、パソコンで家でもできることを見つけるとかやってみたら?」っていうんですけど、老眼だからだの、もう年だからあんたたちみたいに......と小言ばかり。

寂聴さんがいうように、やってみないとわからないし挑戦してみたことで得られることはあると思うんです。

やりたいことがある方はぜひ挑戦してみてください!

✔️自分が残されて泣いている方が幸せ

ほんとに愛した人に先に死なれた人は、男も女もほんとに不幸な顔をしています。そう言うと、この世に残されるよりも自分が先に死んだ方が幸せのように思えます。愛する人に先に死なれると、嫌なことを全部忘れて、しばらくはよかったことだけを思い出す。みんな「あの人とめぐりあってよかった」と言います。そう思えるというのは非常に幸せなことではないでしょうか。だからそんな宝物のような人を残して自分が先に死ぬよりも、自分が残されて泣いている方が幸せでしょう。

P176

わたしの祖父は87歳です。

毎回会うたびに「目の黒いうちに」とかいって泣き始めます。

死ぬのが寂しいのか、怖いのか....... 祖父母はまだ両方健在で、とても仲良しです。

だからどちらかが亡くなって、残された方の悲しみは孫の私でさえ計り知れない......

残されて泣いている方が幸せと呑気にいってられるのか。そう思って生きてくれれば嬉しいですよね。

【まとめ】自分に自信がない人は読むべき一冊

生きていくことで大切なことは「誰かを愛する」ということ。

そして

  • 挑戦していくこと
  • 自分に自信をもつこと
  • 自分自身も愛すること

タイトルが「遺言」なだけあって若い方には手に取りにくいのかなと感じる部分はありますが、20代〜30代の方にも読んでもらいたい一冊です。

人間が生きるというのは、喜びもあるけれど、本質的には辛いことなのです。けれども、その辛いことを味わうために人間は生まれてきたし、生かされています。辛いのは仕方がない。そこで「辛い世の中をいかに有意義に生きるか」ということが大事になってくる。その問題に対する一つの答えは、最澄さんの言葉「忘己利他」です。自分の利益を忘れて、ただ人の幸せのために一生懸命になりなさい、考えなさいということ。わずかでもいいからこれさえ出来れば、人は生きたかいがあるのです。

P130

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